【感想】グッド・ドクターのリアが嫌いと言われる3つの正当な理由。なぜ私たちはカーリーの方を応援したいのか?

【実例分析】モノの機能と本質

「カーリーの方が良かった」ーーその痛いほどの共感と、リアへの拒絶反応。しかし、その不快感こそがショーンを「大人」にするために仕組まれた、ある「不可欠な機能」だったとしたら?

あなたのモヤモヤは間違っていません。

検索エンジンに「グッドドクター リア 嫌い」と打ち込んでこの記事にたどり着いたあなた。その胸にあるモヤモヤとした感情は、きっと一言では言い表せないものでしょう。

主人公ショーン・マーフィーの純粋さを愛すれば愛するほど、彼を振り回すリアの自由奔放さが許せなくなる。「なぜ彼女なのか?」「もっと彼を大切にしてくれる人がいるはずだ

最初に言わせてください。その感情は、ドラマを真剣に見ているからこそ生まれる、極めて「正当な反応」ですあなたは決して心が狭いわけではありません。ショーンに対する「保護者的な正義感」が、彼女の行動に対して警鐘を鳴らしているのです。

この記事では、多くのファンが抱いた「リアへの不快感」の正体を言語化し、それでもなお、なぜ脚本家が彼女をショーンのパートナーに選んだのか、その「本質的な理由」について分析します。

私たちがリアを許せない3つの正当な理由

ネット上のコミュニティやSNSを見ても、リアに対する拒絶反応には共通した理由があります。特にシーズン3前後で、この感情はピークに達しました。

ショーンに対する無自覚な残酷さ

自閉症(ASD)を持つショーンにとって、他人の感情や「行間」を読むことは最も困難な作業です。それなのに、リアの態度は常に「ミックスシグナル(曖昧な合図)」です。

親密にキスをしたかと思えば、「付き合えない」と突き放す。友人として振る舞いながら、恋人のような距離感で接する。私たちには「気まぐれ」に見える行動も、ショーンにとっては「解読不能な拷問」に等しいものです。この配慮のなさが、多くの視聴者をイラつかせたことでしょう。

カーリーという正解が存在したから

リアへの反感を決定づけたのは、元カノであるカーリーの存在です。カーリーは完璧でした。彼女はショーンの特性を理解しようと忍耐強く努力し、コミュニケーションの方法を模索し、彼のために環境を整えました。

「努力し、尽くしてくれた女性(カーリー)」が報われず、「気まぐれで、努力しない女性(リア)」が選ばれる。この理不尽な結末に対して、「カーリーの方が絶対によかった!」と応援したくなるのは、あまりにも論理的で自然な感情です。

拒絶の理由が身勝手だった

リアがショーンを拒絶した際、「あなたは自閉症だから無理」といったニュアンスの言葉や、「私自身が壊れているから」という自己憐憫を理由にしました。ショーンの純粋で真っ直ぐな愛に対し、あまりにも利己的な逃げに見えた瞬間でした。

なぜカーリーではダメだったのか?

論理的に考えれば、ショーンを幸せにできるのは間違いなくカーリーでした。彼女はショーンにとって安全な温室のような存在です。そこにいれば、ショーンは傷つかず、守られ、穏やかに過ごせたでしょう。

しかし、ドラマ(そして人生)の残酷なところは、居心地の良い温室では人は成長しないということです。カーリーがショーンに合わせてくれたのに対し、リアはショーンに合わせませんでした。

ここに、リアという存在の本当の役割があります。

嫌われ役としての機能 彼女はショーンを対等に扱った

私たちがリアに感じたストレス。実はそれこそが、ショーンが「障がいをもつ青年」という枠から抜け出し、一人の大人の男性として自立するために不可欠な機能でした。

忖度のない現実

社会に出れば、誰もショーンに合わせてはくれません。リアという「予測不能なカオス」と向き合うことは、ショーンにとって痛みを伴う現実社会のリハビリでした。

対等な喧嘩

彼女はショーンを「守るべき対象」として扱いませんでした。自分勝手に振る舞い、本気でぶつかり、傷つけました。それは残酷ですが、ショーンを「対等に傷つけ合うことができる一人の人間」として認めた証でもあります。

カーリーとの関係が介護に近い優しさを含んでいたとするなら、リアとの関係は戦場に近い対等さでした。ショーンが必要としていたのは、自分を守ってくれる聖母ではなく、泥だらけになって一緒に歩いてくれる(そして時には足を引っ張る)パートナーだったのです。

ドラマ全体に隠された心の機能

そう考えると、私たちがリアに感じていた嫌悪感さえも、ショーンの成長を引き立てるための必要なスパイスだったと気づかされます。

リアという「ノイズ」が存在し、彼をかき乱したからこそ、二人が最終的に心を通わせた瞬間の「調和」が、あれほど美しく見えたのかもしれません。

実は、このドラマが私たちを惹きつける理由は、リアとの関係に限らず、ドラマ全体がある「特別な構造」で作られているからです。

他の「面白い」ドラマとは決定的に違う、私たちが無意識に求めていた「心の機能」と「美しさの本質」について、ブログのメインテーマとして深く分析しました。

「グッド・ドクター 名医の条件」がなぜこれほどまでに特別で、涙を誘うのか。リアの話を超えて、この作品の根源的な魅力を知りたい方は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。

あなたがこのドラマに惹かれる本当の理由がここにあります『グッド・ドクター』はなぜ特別なのか?面白いドラマとの決定的な違いと、私が求めた心の機能

コメント

タイトルとURLをコピーしました